2月のおすすめ本

今月のおすすめ本は、安田理深『信仰的実存』です。人間の実存(現実存在)。私が私として生きるとはどういうことか。自己ということについての深い洞察があります。少し紹介します。

自分だけ苦しみが無くなる、ということが宗教の問題ではない。苦しみを共にするということが宗教の解脱なのです。安楽ということは、苦しみが無くなることではない。苦しみを共同する。共に苦しむという、そこにもう苦悩はないのです。そして、それが真に苦悩しておることなのです。(p.116)

人間というのはあるものではなしに、成ったもの。こういうふうになったもの、現にあるものとなったものです。(中略)またなっていくものである。じゃあ誰がならしめたか。そういうものは無い。それはなったものの外にない。(p.178)

業は脅かしているんじゃない。業を対象化することによって対象化した意識が脅かされる(p.182)

当然引き受けなきゃならんものを、当然として引き受けた。業は業によって超えたんです。そこに何ら秘密がない。(中略)その衆生というものを自覚した衆生ですね。それが<菩薩>です。(p.186)

<不安である>というのは呼びかけはあるけれども、呼びかけだと言うことがわからん。わかれば不安は安に転ずる。足が地につく訳です。(p.222)

自己の根元を知らんというのは無明です。無知です。現実というものでありつつ、しかも現実を知らぬという所に自分が成り立っておるんです。だから我ではないものを我と執着する。(p.226)

他にも新入荷の本があります。『百花帖』は「花の向こうに見るもの」を大事にする本です。もう一冊は『アート思考ドリル』。「ぐんぐん正解がわからなくなる!」というキャッチフレーズにひかれました。先入観に気づかせ、解きほぐしてくれる本です。

それでは2月も念々堂をよろしくお願いいたします。

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